本の記録
読書感想文。
admin


http://jugem.jp/
http://biancca.net/
f植物園の巣穴
11月 02日 * 01:51 * 梨木 香歩 *
-- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --
評価:
梨木 香歩
朝日新聞出版
¥ 525
(2012-06-07)


梨木香歩感満載の贅沢な小説でございました。
どっからが現実で夢なのか、それともこういう世界なのか。
奇妙な世界で現実との齟齬に悩みつつ、それでもしっかりその異質な世界に馴染んでしまう主人公のふわふわ感と、
その異質な世界で自分のルーツを探っていく過程で気がつく大切なことのあれこれ。
自分にとって都合の悪い出来事を、人の脳みそは都合よく変換して記憶しがちです。
けれど都合よく記憶したままではいけないことってある。
その時にはそうするしかなかったようなそういう痛い出来事を、少し成長した頃に再度開けてみるって
結構大事なことのような気がします。

なんだかそういう、「今ここで成長するタイミング」みたいな事を考えさせられるお話でした。
迷い込んだ奇妙な世界の世界観は非常に好きです。

JUGEMテーマ:読書


-
エンジェル・エンジェル・エンジェル
05月 23日 * 20:08 * 梨木 香歩 *
-- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --
エンジェル・エンジェル・エンジェル (新潮文庫)
エンジェル・エンジェル・エンジェル (新潮文庫)
梨木 香歩

とっても短いお話。
短いけれどすごいお話。
人が人であるのは、
自分の心の中に、悪魔と天使が常にいるからこそ。
どちらがなくても人にはなれない。
-
村田エフェンディ滞土録
05月 23日 * 20:07 * 梨木 香歩 *
-- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --
村田エフェンディ滞土録 (角川文庫 な 48-1)
村田エフェンディ滞土録 (角川文庫 な 48-1)
梨木 香歩

わかっているし感じているのだけれど、
どうしてもうまく言葉にならないことを、
梨木香歩は本当に丁寧に言葉にして紡いでいく。

すごいなぁ、と思う。
そしてじわじわ静かに感動してしまう。


ラストの鸚鵡の一言がよい。
-
家守綺譚
05月 13日 * 00:30 * 梨木 香歩 *
-- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --
家守綺譚 (新潮文庫)
家守綺譚 (新潮文庫)
梨木 香歩

100年ほど前の日本のお話。
亡くなった同級生の実家に家守として住むことになった主人公の話。

河童とか小鬼とか幽霊みたいなものとか狸だとか。
そういうあやかしのようなものと淡々と接して受け容れて暮らしていくさまが描かれている。

そういうものがひとの暮らしと地続きにある世界観のようなものが、梨木香歩の小説にはいつでもあって、それがとっても心地よいのです。

自分とは違う何か、とてもじゃないが理解しきれない何か。
理解は出来なくとも、相手の事情を汲んで立場を汲んで、こちらの立場や事情も考慮し、ゆずれるところはゆずったりしてなんとはなしに生活している。

理解できない事と否定することは違って、理解できなくても、それをそのまま肯定する事ってとっても大事だと思っていてね、それはきっと、私とあなたの間にも必要なスタンスなのだよね。

違って当然。理解できなくて当然。そのままを「そういうものなのね」で受け容れて認めることが皆出来れば、きっともうちょっと平和になるんではないかなと思ったりします。

そういう視点は絶対に必要だと思うのです。
-
春になったら苺を摘みに
05月 13日 * 00:28 * 梨木 香歩 *
-- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --
春になったら苺を摘みに (新潮文庫)
春になったら苺を摘みに (新潮文庫)
梨木 香歩

村田エフェンディと同時進行で読んでしまったため、若干頭の中がごちゃごちゃ。
というのも村田エフェンディ、とってもこのエッセイに似ている。

自らも外国人という立場で、様々な国の様々な文化を持つ人たちを下宿させ、関わっていくウエスト婦人を軸にした様々な人たちのこと。
そしてそれを通して自分の心の中と真摯に向き合って答えを見つけようとする様はなんだかしみじみとよかった。

でもこれエッセイだったんだね・・・。
濃厚なエッセイでした。
-
りかさん
05月 13日 * 00:24 * 梨木 香歩 *
-- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --
りかさん
りかさん
梨木 香歩

からくりからくさ の続編であり、時代はからくりからくさの前になる。
からくりからくさの舞台であったおばあちゃんの家、のおばあちゃんが生きている時代のお話。

蓉子とりかさんの出会いのお話。

先にこちらを読んでしまったのはちょっと残念だったかな、という気がしました。
続きの話ならば、マーガレットもまた宿世の縁でこの家にやってきた人、ということがよく分かる。

けれどどちらから読んでも、この2つの作品は紛れもなくひとつのお話の流れの話で、矛盾するところが少しもない。
こういう風に物語が書けるってすごいなと思いました。

ファンタジー、なのか、ともすればオカルトの領域に入りそうなお話ですけれど、ちゃんと読めばそういうものも何もかも、私たちが生きて暮らして感じていることと、そう違った世界ではなく繋がっているものだなと感じることが出来るような気がします。

ある、ない ではなく。
人の思いとかそういうものの見えないものたちをそっとやさしく掬い上げるようなお話でした。

からくりからくさとセットで読むことをお勧めいたします。ちょっと長いけれどね。
-
からくりからくさ
05月 13日 * 00:22 * 梨木 香歩 *
-- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --
からくりからくさ (新潮文庫)
からくりからくさ (新潮文庫)
梨木 香歩

思わずため息の出る小説。
こんなに丁寧に、真摯に、人の心のどうしても言葉にしづらい繊細なものを描いた小説は初めて。

人は誰だって、自分を醜いものだとは思いたくない。
しかし人である以上、醜いと感じるものを抱えているのもまた事実。
そういうものに気づかず、屈託なく笑えている時代はおそらく幸せなのだろうなと思うのだけれど、それでは人は子どものまま、ということになる。

化学染料で染めたはっきりとした、赤・白・黒の色もそれはきれいだけれど、結局人は、色々なものが入り混じった、ある意味ぼやけたさびた色を纏うことになるんだろうなと。

本当にため息がこぼれる小説。
でもやさしい小説でございました。
-
裏庭
05月 13日 * 00:12 * 梨木 香歩 *
-- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --
裏庭 (新潮文庫)
裏庭 (新潮文庫)
梨木 香歩

その土地の子供の絶好の遊び場になっている「お化け屋敷」が本当に別の世界に繋がってる、って話。

3世代に渡る母娘の関係。元になった3世代前の人たちの心残り。

当たり前のことは当たり前だからこそ難しかったりする。
自分が子供の頃に傷ついた事を、
親になった自分が繰り返したりしていて愕然とする瞬間がある。
子供が2人以上いたならば、
胸を張って「どの子も同じだけ大切」っていつでも言えるかしら。
天使のような子も天使なんかじゃなくて人間でしょ?
ちゃんと全部見えてるかしら。

こういうの、親になったことのある人ならば、
誰でも一度は経験しているのではないかしら。



産まれて初めて愛情をもらう人が親ならば、
産まれて初めて自分を傷つける人も親だと思う。
人と関わるということはそういうこと。

傷を大事にしなさい。と、
何度も何度も言われる主人公の照美ちゃん。
傷を大事にするってなんなのか、
傷から出てくる金色の粉ってなんなのか。

私は苦労は買ってでもすべきではないと思う。
でもどうしたってそれなりに苦労はするように出来てる。
傷ついたり苦しかったり自分の醜い面を発見しちゃった時に、
それとどう対峙するかが、傷を大事にするか否か、って事じゃないかな。

こういう本こそ児童書だと。
頭のやわやわなうちにこういう本とめぐり合えたら幸せだ。

それでも、みんなこういう経験してきて大人になってるよね。


宮部みゆきの「ブレイブストーリー」は、決断に迫られた主人公が不思議な世界に飛び込んじゃうけれど、
「裏庭」にはそういう切迫感がない。
なんとなく、ジワジワと感じている何かの引っかかりが、たまってたまってこれ以上無理って決壊した感じ。

親から子へ、虐待は連鎖するというけれど。
それは多分、丁寧に生きていれば克服できるものなんじゃないかなぁと、親になった私は思うのです。

私にとって一番近い登場人物が照美ちゃんのお母さん、幸ちゃんだったわけだけれど、子供がいない人が読んだら、また、殿方が読んだら、少し違った物語の印象を与えるかもしれません。

ひとりの女王(人間)がひとつの世界をつくる、という形は、ミヒャエルエンデの「果てしない物語」を思い出させました。

とてもよいファンタジー小説でした。

あと5年くらいしたらわが子の目につくところに置いておこうと思います。
-
西の魔女が死んだ
05月 13日 * 00:07 * 梨木 香歩 *
-- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --
西の魔女が死んだ (新潮文庫)
西の魔女が死んだ (新潮文庫)
梨木 香歩

魔女の修行は、つよくしなやかに生きていくための修行。
見たくないものは見ない。自分に干渉するものはない。と、
ひとりでまっすぐに立てるつよさ。

言葉で、生身で和解できなかったしこりを見事にほぐして開放するおばあちゃんと主人公まいのエピソードと、
後日談のように載っている、まいと親友ショウコのやり取りの中の、
「きちんと言語化しないと、事態は悪化の一途をたどるばかり」
というショウコの言葉の対比がよいです。

どちらも、真実。

ちびっこがもうちっと大きくなったら読むといいな、と思う本。

おばあちゃんのお家のほぼ自給自足な暮らしも素敵すぎる。
でもあんな暮らし、私にはとてもじゃないけど出来そうにないな(苦笑)
-
/ 1/1 /