本の記録
読書感想文。
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ゆめつげ
07月 30日 * 07:57 * 畠中 恵 *
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ゆめつげ (角川文庫 は 37-1)
ゆめつげ (角川文庫 は 37-1)
畠中 恵
しゃばけシリーズではない畠中恵の長編小説。
それでも舞台はやっぱり江戸。ただしペリーさんが来て開国迫られて、みたいなまさに幕末。
時代が大きく変わろうという少し先の未来もまったく見えない状況の不安定な感じが、いまいち自分に自信の持てない主人公弓月とかぶります。
弓月としゃばけの若旦那のキャラは微妙にかぶるのだけれど、どちらも魅力的。

「夢告」という神道の占いの能力(超能力ですね)を持つ弓月はその力のせいでとんでもない事件に巻き込まれていきます。
しゃばけ同様、時代小説ながらミステリーの要素もてんこ盛り。
謎解き要素だけでもおなかいっぱい楽しめます。

人ひとりの力ってとてもささやかで小さくて、世の中とか時代とかそういう大きなものを変えるのは到底無理なのだけれど、激しく変化する時代に翻弄されつつも、飲み込まれつつも、人という大きな視点で見れば、それでもなんとか乗り越えてなるようになってしまうんだな。っていう。
個人レベルの話に落とせば、立ち直れないような大変な出来事があったとしたって、結構乗り越えていけちゃうものなんだよな。っていう。

明日の予測が立てられない不安と、その先にある変化と。
見えないから過度に期待したり過度におびえたりもするのだけれど、変化はそういうものすら呑み込んで、時間とともに平らにならしてしまうのだなぁ。と。

そういうことが心のそこから納得できると、何か人は成長するんではないでしょうかー。

物語の最後まで、弓月の視線はやさしくもどこか自分自身がいない感じがするのだけれど、そういう人だから夢告なんていう不思議な能力を身のうちに飼えるんだよな、きっと。
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ねこのばば
06月 05日 * 01:44 * 畠中 恵 *
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ねこのばば (新潮文庫)
ねこのばば (新潮文庫)
畠中 恵

しゃばけシリーズ3作目。
今回は「産土」で佐助の生い立ちや過去等が明かされたりします。
怪の長い長い一生の、だからこそ濃い過去を、長いからさらりとしたお話。

佐助こと犬神の生い立ちはなんだかとても切ないものがありました。
自分の居場所って、ないととっても寂しい。
今の佐助のがんばりっぷりの裏づけになった、とてもとても切ないお話でございました。

お雛さんがここから登場します。
個人的にとても好きなキャラクターだったりします。
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ぬしさまへ
05月 29日 * 19:50 * 畠中 恵 *
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ぬしさまへ (新潮文庫)
ぬしさまへ (新潮文庫)
畠中 恵

「しゃばけ」の続編で短編集。
一太郎と妖怪たちが暴れてます。
江戸で起こった様々な事件を妖怪と一太郎が推理していくお話なのですが、そればかりでなく登場人物の背景がより深くわかるような話も入っております。
前作でちらっと登場した腹違いのお兄さんのエピソードや、色男仁吉の昔の恋話など。
またこの恋話がすごいところで繋がるからすごい。
「それでも、また会えたらいいね」なんて歌がありますが、この歌さながら転生を繰り返して何度も恋をする妖怪のお話。
千年を経ても恋しい気持ちは変わらない、深く濃く恋する人に片思い。
って、ちょっと想像ができません。

千年も転生を繰り返した後、子を残して気持ちに区切りがつく感じもなんだかほんわかいたします。
ちょっと切ないオチもつきますが。

人と妖の感性の違いに右往左往しながら、当の一太郎もしっかり妖の感性を受け継いでるところが見え隠れするのがなんとも素敵。


続きも一気に読みたくなってしまうシリーズです。

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しゃばけ
05月 23日 * 18:49 * 畠中 恵 *
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しゃばけ (新潮文庫)
しゃばけ (新潮文庫)
畠中 恵

江戸時代ファンタジー。
妖怪がいっぱい出てきます。
主人公はお坊ちゃま。体が弱い上に待望の一人息子ってことでものすごい過保護に育てられた17歳。
お坊ちゃまだけれど、でっかいお店のお坊ちゃま。

このお坊ちゃま、体の弱さが尋常じゃない。すぐに熱を出すし寝込んじゃうし生死の境をさまよう。
それゆえ周囲の保護者が心配して心配して、過保護に過保護に育てられたお坊ちゃまなんであるけれども、このお坊ちゃまは17歳なのに賢い。
育ちもいいからとっても素直。
けれどそんな理由で外に出してもらえないからかどこか浮世離れしている。

彼が浮世離れしている理由はもうひとつ。
彼の目は普通の人に見えないものが見える。
彼の傍についているにいや達は江戸界隈でもとても力の強い妖怪だったりする。
冒頭から当たり前に妖怪が出てきて、当たり前に妖怪と話したりかかわったりしている主人公。

江戸時代なんだけどファンタジー。だけど江戸時代だからとてもとても日本的なファンタジー。

「妖と人の基準は違う」ということ。
妖怪は悪魔でも天使でもなく、妖怪。
悪いも良いもあまりなくて、人間とは違った基準で人間の社会の中にたまにかかわってくる存在。
その延長に神様の存在なんかもあったりして、非常にこう、おおらか。

私は妖怪が大好きなんだけれど、その理由がこの物語を読んでなんとなくわかった気がした。

おおらか。

毒にも薬にもならないたくさんの妖怪がいて、そういうものを作り出した人たちの子孫であるところの私たち日本人。


あー。日本人でよかったな。なんて思ったりいたしました。

悪いやつもいいやつもいないなんて、すごく素敵だと思うんだ。
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