本の記録
読書感想文。
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さみしさの周波数
05月 23日 * 19:58 * 乙一 *
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さみしさの周波数 (角川スニーカー文庫)
さみしさの周波数 (角川スニーカー文庫)
乙一

いくつかの話が「失はれる物語」にも収録された本。
読んだつもりになっていたら読んでなかったっていうアイタタな1冊。
久しぶりに乙一を読みました。

未来を天気予報くらいあてにならない感じで予報する子。
「呪いの言葉」と彼が言う、未来予報のひとつが、実はそうではなかったかもしれないな、というのは結果論にすぎない。

本当に呪いの言葉になる可能性だってあったんだなぁ。。。。

未来を知る、ということは果たしていいことなの?というのが私の中にはあって。
だって未来はいくつもの道がある。
未来予報が当たらないのは、だからなんだな。

未来は、匂いだけしていればいいもの。
なんとなく漂っていれば、それでいいもの。
そしてそのとおりになったりならなかったり、ともあれ現在の自分がその未来の断言で変わっていく、未来が干渉することがあってはならないんじゃないかなぁ、なんて思うわけです。

切なげでいいお話だったけどね。
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ZOO(1・2)
05月 23日 * 19:42 * 乙一 *
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ZOO〈1〉 (集英社文庫)ZOO〈2〉 (集英社文庫)
ZOO〈1〉 (集英社文庫)ZOO〈2〉 (集英社文庫)
乙一

乙一を知らない人に、「乙一ってどんな作家?面白い?」と聞かれたら迷わずこの2冊を差し出すだろう。

乙一の作風がおそらく余すことなく収録されている短編集。
一般に「白乙一」「黒乙一」といわれているけれど、乙一の作品はなんというかグロい描写が全面に撒き散らされてる「黒」の面と、切なさいっぱいに人の気持ちの機微を描く「白」の面がある。

私はこの2面は、アウトプットした結果そうなったのであって、どの作品も根本がたいして違うわけではないと感じている。
何度も書いている気がするけれど、乙一は孤独の描き方が秀逸だ。
彼はきっと孤独な時代を過ごした事があるのだな、と感じるほどリアルだ。

そしてそれを乗り切った経験もあるのだろうなという。
静かに、多くを語る事なく、社会の隅っこの方からシニカルに世の中を覗いている。
それを語る事はしない。
そして作品にそれがにじみだす。

もともとライトノベルで小説を書いている方なだけに、非常に文章も読み易い。
グロいのも切ないのもコミカルなのもまとめてこの2冊の中に入ってる。

乙一の入り口として、これはちょうどよい小説だと思う。
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小生物語
05月 23日 * 19:21 * 乙一 *
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小生物語 (幻冬舎文庫 お 10-3)
小生物語 (幻冬舎文庫 お 10-3)
乙一

乙一のWeb日記を書籍化した本。
いい具合に肩の力が抜けた文章で、楽しめる。
乙一のあとがきが好きな人にはお勧めだと思う。

…と、小生物語の書評に書いてあるような事を並べてみた。
「素が出ているようで見事に交わす」というような文章をどこかで見かけたのだけれど、なんというか見事に「この人きっとこういう人なんだろうなぁ」という人物像はよく見える本です。

すっごい男子的な妄想(非エロ)と連想の飛躍が読んでいてとても楽しい。
一体脳みそのどの部分を使ったらこういう文章がポンポン書けるのだろうなんて思ってしまう。

あとがきで、「乙一は変な人」という認識を持たれたのがうっとおしくなった、と、筆者が述べているけれど、世間一般みたいな思考の枠組みには収まらない人だからあんな文章を書くんだと思う。
こういう想像やら妄想がとめどなく出てくる人というのは、大抵暗い人だと思っている。

うわぁ、すごいなぁ、おもしろいなぁ って思う人は大抵暗い。
「僕面白いよ」っていう自称おもしろい人で明るい人って大抵面白くなくて(毒)いらいらしたりする事も多いのだけれど。

ノリが良いというのと、面白いというのはまったく別次元の話で。
ネットで「日記」というものを読むようになってから、私が必ず目を引かれてしまうタイプの日記を書く人でした。

うん。乙一は面白い人くて暗いだと思った。だからあんな「騙された!」っていう小説が書けるはずだと、納得した。
あぁ、この「面白い人」論をうまく文章に出来ない自分がもどかしい。

あ、私のいう「暗い人」ってある意味で褒め言葉です。根暗にもタイプが色々あるけれど、暗くて面白い人っていうのは、私の中でツボの中のツボです。ええ。「相手してもらえるかしら、私なんかが…」なんて、実生活でそういう人と出会っても思ってしまって、でも近づきたくて周りをうろうろしてしまう、そんな感じのタイプ。

別の言い方をすると、
「真顔で嘘がつけるタイプ」(それもどうしようもない嘘を)
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GOTH(夜の章・僕の章)
05月 23日 * 19:16 * 乙一 *
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GOTH 夜の章 (角川文庫)GOTH 僕の章 (角川文庫)
GOTH 夜の章 (角川文庫)GOTH 僕の章 (角川文庫)
乙一

文庫版は上下(って乙一本人はあとがきで書いていたけれど、どっちが上でどっちが下なのか、あの装丁で判る人がいるのだろうか。疑問)2冊。ともかく2冊。

2冊を並べると上「夜の章」(だろうと思われる)には表紙に「GO」下「僕の章」(だと思う。あれは。)には「TH」ってでっかく書かれている。

そんなところから推測して、私は「夜の章」から読みはじめたのですが。

今回もまた、「騙された」って思ってしまった。
乙一は、読む人がどこを注目して読んでいくのか、とか、どこを注目しないで読みとばしがちなのか、というような事を全部判って書いてるんだと思う。

なんかすごい賞を取った作品らしいですね。

最後の謎解きの時に、大抵のミステリならば「あぁ、そういうことか」って思ったりするんですけれど。
自慢じゃないけれど私はとっても素直な性格なので、文面をそのまま疑うことなく、物語の裏をかいたりすることなく、そのまま読み進めて行ってしまうのですね。ミステリーだろうとなんだろうと。

で、謎解きの段階になると、「ああそうか!」って思うのです。

思うのですが。

だけどね。

乙一の本は、「??????」ってなる。
私は一体、物語の何をどこでどう勘違いしたんだ?ってなる。
大混乱。
でも本当に、故意に起こさせる勘違いみたいな仕掛けを、奴は仕込んでくるのだ。お話の中に。
だからすっごく悔しい思いをするのだけれど。でもそれが小気味よかったりもする。

で、最後まで読み進める前にもう一度ちょっと遡って読み返す羽目になったりする。
どこがどう、って、聞かないでください。
この感覚を是非味わっていただきたい。

すごいなぁと思ったのは、この本、絶対に映像化出来ないって事。
本っていうものの特性を上手に上手に活かしたトリックなんです。
文章というものは、文面に書かれていることをそれぞれの頭の中で想像して初めて成立するエンターテイメントで、お話で。

その想像力の穴を突いたトリック、というところに完敗。もう、負けたよ私は。
何に負けたんだかわからないけれど。

この2冊は、私が読んだとおりに「夜の章」⇒「僕の章」の順番で読むべき本です。
そうしないと、この僕の章のラストの衝撃度は下がると思う。

「あちゃー。…騙されたー…。」

って是非思って頂きたい。

あと、余談なんだけれど。
私はこのGOTH「僕の章」のあとがきを読んで、初めて合点が行った事がある。
乙一は、「白乙一」「黒乙一」ってその作品を分けられたりしているのだけれど。
その、白乙一と呼ばれる作品群に必ずと言っていいほど出てくる、孤独の描写。
あの描写は、救いようがなく、絶望的なまでに、素晴らしい。

淡々と、至極淡々とその孤独を綴るので、「この人は一体…どうしたらこんなに孤独であることを描けるのだろう」ってずっと思っていたのです。
そして私は、その孤独の描写が大好きで、その孤独が最後に必ずちょっと癒されたり、救われたりするそんな話を綴る彼の小説が好きなのです。

とっても簡単なこと。

彼も同じ孤独を味わいながら生きていたんですね。
彼は16歳でデビューしています。
いきなり賞取ってます。
それは才能だと私は思うのです。
でも、彼のやりたいことは、別にある。

あとがきを読みながら「ああ、世の中って面白い。人が生きるって事は本当に面白い」なんて思ったりもしてね。

少々グロい表現も出てきますけれど、まぁそれもこれも乙一って事で読んでみることをお勧めします。
ミステリ好きじゃない私がこれだけおもしろがってるんだから、面白いと思うよ。
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