本の記録
読書感想文。
admin


http://jugem.jp/
http://biancca.net/
聖なる怠け者の冒険
06月 11日 * 08:43 * 森見 登美彦 *
-- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --
森見登美彦の久しぶりの小説です。
文庫派な私が待ちきれずに買ってしまったよ。もう超待ってた!

宵山のある週末をめぐる、ポンポコ仮面と怠け者の話。

一生懸命尽くしたのに、なんだこの仕打ちは!という、頑張ってる人に待ち受ける理不尽なことの数々に対する叫びみたいなのがすごく印象に残りました。
この人はこういう役割だからこうしなければならない、ということを片っ端から、徹底的に否定していた小説のような気がします。

ああ、森見氏の小説ちょっと変わったな、前よりも優しい感じになってるなと思いながら読了。

ぽんぽこ、といえば狸で、宵山、といえば宵山万華鏡。
この作品は、宵山万華鏡と有頂天家族ともちょこちょこリンクしています。
ちょこちょこなので2作を読んでいなくても十分楽しいお話ですが、知っていると「おお・・・」となってちょっと感慨深い。

週末を怠けるために必死になる主人公と、充実した週末を過ごすために必死になる人。
人から感謝されたいと必死になる人。
でもみんなカワイイ。等しくカワイイ。

あー。京都行きたい。って思える素敵な京都ファンタジー小説です。

JUGEMテーマ:読書


-
ペンギン・ハイウェイ
02月 17日 * 11:09 * 森見 登美彦 *
-- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --
森見登美彦の京都じゃない小説。
森見登美彦といえば京都で、腐れ大学生なのだけれど今回のお話には腐れ大学生も猫ラーメンも出てこない。
舞台も京都じゃない。

主人公のアオヤマ君は小学校4年生。
まだ大人の歯も生え揃っていない子供である。
しかし、小学校4年にしてはありえないくらい賢い少年なのです。

9〜10歳の少年の初恋と彼の住む街に現れた謎のペンギンと「海」。

京都は出てこないけれど森見登美彦だなあと感じさせられるのは、そこはかとない楽天さと寂しさと切なさ。
研究対象としてのお姉さんと、恋心の対象としてのお姉さん。
それはアオヤマ少年の中で、どちらもお姉さん研究なのだけれど全然違うことで。

父親はアオヤマ少年に研究の仕方を教えた人物で、アオヤマ少年の日々の暮らしを暖かく見守っている。
当然母もいるのだけれど、小説の中では圧倒的に父の存在感のほうが大きい。

一般的に描かれがちな賢いこどもというのは、脳みそばかりが先行していて実が伴わない(経験が足りない)ちょっと生意気で、困らせてやりたい!と思わせるような存在だったりするのだけれど、アオヤマ君は頭で考えたことをその通りに実践してしまえる心の強い子どもなのですね。その調子でいじめっこに反撃したりするものだから、なかなかに爽快である。
わからないことをわからないと素直に言える(そして調べて考える)あたりは、非常にかわゆい。

森見登美彦の小説にはたくさんのかわゆいものが登場するけれど、ペンギン・ハイウェイはもう主人公がすごくかわゆい。出てくる子どもたちもかわゆい。そしてペンギンたちもかわゆい。

世界がまだまだとっても大きくて、果てなんて見えない、1日がとっても長くて1年なんてすごくすごく先の話だった
頃の空気がいっぱい詰まった、素敵なファンタジー小説でございました。
-
恋文の技術
11月 04日 * 20:27 * 森見 登美彦 *
-- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --

大学生ってのは、こんなにも純粋でアホで可愛いものなのかと思ってしまう。

きっとそんなことはない。
大学生には可愛いのもこ憎たらしいのもいるはず。

でも、彼の小説に出てくる登場人物は皆可愛くてアホ。
電車の中で読んでいて、妹や子どもたちに「なんでニヤニヤしてるのー」と突っ込まれました。
なんでってあんた、面白いからに決まってるじゃないか。

JUGEMテーマ:読書


-
有頂天家族
11月 04日 * 18:22 * 森見 登美彦 *
-- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --

京都に住みつく狸の家族の話。天狗の話。半天狗の話。人間の話であって、
京都ファンタジー!っていうような荒唐無稽な話がおもちろおかしく語られていくのだけれど、
素敵な家族の絆が描かれていたり、ちょっとした乙女心が描かれていたり、
しょーもない話の合間に垣間見えるそんなものがまたよいのです。

狸というものは阿呆なもので、阿呆であることこそが偉大。
無駄を愛する心にあふれた素敵な作品なのでございます。
これぞ、阿呆の血のしからしむるところだ。
阿呆とはなんと可愛らしいものなのでしょう。私は可愛らしいものが大好きです。

ものすごく大切な人の大切な人であっても、自分自身がその人と初対面ならば、その人は知らない人だよな。
情なんてはいる余地もないよな。みたいな当たり前のことにしみじみしてみたりね。

あまり書くとネタバレになってしまうのでこのへんで。

JUGEMテーマ:読書


-
宵山万華鏡
11月 02日 * 07:47 * 森見 登美彦 *
-- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --

きっと読んだ人は皆きんぎょきんぎょってなると思う。

金魚玉が欲しい。

それより天狗水の風船に入った金魚風船がいい。

超金魚が見たい。

宵山に行ってみたい!!!!!

京都の祇園祭、その宵山にだけ焦点をあてた連作短編集。
宵山の一日に焦点をあてた群像劇。
全部で6話収録されていますが、3つのお話の表と裏という構成でできています。

夜祭の心踊る感じはなんなのでしょうね。
日常の中にぽっと出来上がる非日常。
どこかに迷い込んで帰ってこれなくなるかもしれない、そういう危うさがよいのかもしれません。

物語を通じて、あちら側の象徴的に出てくる赤い浴衣を着た女の子の集団。

今回も素敵な京都ファンタジーになっておりました。
森見登美彦は本当に素敵だ。
どの作品を読んでいても、なんだかふわふわしているのです。
そのふわふわがとんでもなく好きです。
使う言葉が非常に可愛らしいのも好きです。
全体を通じてやっぱり優しい感じがするのが好きです。

この小説のせいで、一夏を金魚を夜祭に心奪われたのは言うまでもない。

JUGEMテーマ:読書


-
四畳半神話大系
10月 25日 * 14:12 * 森見 登美彦 *
-- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --
四畳半神話大系 (角川文庫 も 19-1)
四畳半神話大系 (角川文庫 も 19-1)
森見 登美彦

キーワードは京都・大学・四畳半。
長編小説ではないけれど、どっちかというとアドベンチャーゲームのような小説。

読んでいて思い出したのはドラえもんの第一話。(一話だったかな)
君はジャイ子と結婚する運命だけど、しずかちゃんと結婚する運命に変えるために僕は来た。みたいな事をドラちゃんはのびた君に告げるのだけれど、そんなことをしたら君のいる未来が変わっちゃうじゃないっ。って言ったノビタに向かって、「東京から大阪に行くには、いくつもの行き方があるのと一緒で、途中で調整すれば今の未来に辿りつくから大丈夫ー」って答えるすごいシーン。

よくよく考えたらその間の子孫の運命は思いっきり変わるわけで、それ何の解決にもなってないじゃないかって思ったりしたけども、なんかこれに似てる話でした。

主要人物であるところの、唯一の親友で悪友である妖怪のような小津君のキャラクターが私のツボ。
この人物がとてもとても可愛らしい。主人公の彼への評価はとてもとても悪いんだけれど、その中にものすごい愛が感じられるところがまたこれ、いいな。

さわやかさとは程とおい青春小説だけれど、テイストは前作(文庫のね)の「太陽の塔」そのままで大変楽しく読みました。

-
太陽の塔
06月 23日 * 13:52 * 森見 登美彦 *
-- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --
太陽の塔 (新潮文庫)
太陽の塔 (新潮文庫)
森見 登美彦

何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。
なぜなら、私が間違っているはずがないからだ。
                         --本文より


失恋小説。
京大、休学中、五回生という主人公が、生まれてはじめての恋人と付き合って振られたあと、1年をかけて立ち直っていくさまを小説にしたもの。
自意識もプライドも高いけれど、自分自身がもてないという事実から言い訳するべくその正当性を説いている。屁理屈なのだけれど。
冒頭に引用した文章そのままの人たちなわけである。

自分の未練を「知的好奇心」という名前に摩り替えて別れた恋人を追いかけつづけるさまは、悪意のないストーカー。
ある意味で非常に純粋な人たちなのである。けれど実は悪意がないのが一番やっかいともいえるわけで。。。苦笑。

本当はそんなことも重々承知していて、それでも主人公は彼女を追っかけつづける。
気の済むまでやるうちに、そこにあった見ないようにしていた事実も受け止められることができる。っていう。

しかしこういう男子は本当にかわいい。
モテない男子、妄想力人一倍の男子って私の好みど真ん中なのですね。
男子の妄想と女子の妄想には根本的な違いがあって、女子である私には男子のようなとっぴな妄想ができない。あれはとてもうらやましい。


こう、なんだか大変優しげな小説です。文章の語り口からエピソードからすごくよく出来ていると思いました。
次の小説が読みたくなる作家さんです。
-
/ 1/1 /