本の記録
読書感想文。
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阿修羅ガール
08月 04日 * 02:21 * 舞城 王太郎 *
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舞城王太郎の小説は好きですが、この小説が一番好きかもしれないって思った。
主人公は女子中学生。
お世辞にも真面目とは言えない主人公の愛子ちゃん。

人を好きになるということ、生きるということ、死ぬということを生生しくぐるぐると考える愛子。

「あーヤリたいなー」とか言うしセックスも当たり前でとっても軽い反面、
好きでもない人とセックスしてしまってものすごく落ち込んだりしてしまう。
で、好きな人とセックスしたいなあーってつぶやくのだ。

とにかく生きること。必死で生きること。
一見賢くなさそうな主人公は、実はすごく色々考えている。
考えてその都度結論を導き出している。
そのまっすぐな感じときちんと考えること。ごまかしの一切ない、飾り気のない、
けれど綺麗事で飾らない分ストレートにこちらの心に届く。

必死になって生きようとする姿ってとっても感動する。
色々と間違えながら失敗しながら、しかし彼女の思考はとても軽やかだ。

浄土真宗では、悪人だって悪いことしたって仏になれるよ、みたいに説いている。
なんだか夢のようなお話ですが、これって一番大変な修行だと思う。

そしてこの人の文章、読み始めるととまらない。
どんどん目が次の文章を追いかけてしまう。
村上龍のトパーズにすごく似た感じがする。
毎回思うからそうなんだろうと思う。
考えてることが頭に浮かぶままにみたいな感じがすごくリアル。

すごくよい小説でした。

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SPEEDBOY!
02月 22日 * 00:58 * 舞城 王太郎 *
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タイトルそのまんま、とにかく速く走る少年のお話。
という説明は全然間違っていないのだけれど、この説明で想像するお話の輪郭と実際のお話の輪郭はだいぶ違う。

とにかく速さの描写が秀逸。擬音の使い方もすごい。
この人の文体がしっちゃかめっちゃかに見える理由のひとつだと思う。擬音とか擬態語。
だがそれがいい。

限界なんてない。自分でここが限界だとイメージをするから限界が生まれるんだ。
そんなことを考えずに、ただただ自分は出来ると信じること。その意思。それだけで人はなんでもできる。
そんな感じのお話。
この文章を読んだ時に感じる雰囲気と実際の小説は似ても似つかないと思いますが(笑)

舞城氏の小説に出てくる主人公は、いつだって一生懸命で迷いがない。
かっこわるくてもなんでも、自分にとって大切なものはなんの迷いもなく大切だと宣言できる。
その感じは観ていてすごく気分がよい。

人とつながることの意味がわからない、人のことなど分かろうとしない、自分以外の誰かを必要としていない主人公。
しがらみを持てない、誰のことも大事じゃない。自分のことすら大事じゃない。
すべてが他人ごとみたいに見えるその主人公の感じを、「悪くなってる」と指摘する恋人(みたいなもの)。
分からない事は何度言われてもどう説明されてもわからないのであって、そういう事はいくら怒られても直らない。
けれど怒られた事の積み重ねで、ある日突然「ああそういうことか」って気づいたりする。
人はそうやって成長していくものだし、延々と孤独な描写によってひとりを強調されていた主人公だって、
今までに関わった人たちから大なり小なりの影響を受けている。

ほんとうにひとりになっちゃったら、進むべき方角も考えるべきことも考えるべきでないことも自分では見えづらくてわからない。そういう時に、誰かが一緒にいたらうまいこといく。
ひとりよりふたり。そんな感じでのほほんと終わります。

とっちらかった感想になったけれど、良い小説でございました。


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熊の場所
02月 07日 * 08:26 * 舞城 王太郎 *
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恐怖ってなくなったら困るのだけれど暴走するととっても厄介な感情だと思う。
恐怖ってことにテーマを置いているお話が3本収録されています。

怖いことって理解できないことなんだと思う。
理解できないと対処ができないから、なんだかわかんなくて怖い。
お化けが怖いのもきっとそんな理由。
あとは単純に、「死ぬ!」って思ったりすると怖いんだろうなあ。

うまく言えないんだけれど、この人の作品って読み終わったあとで元気出るので好きです。
ただ、3本目のお話、私は一番好きだったけれど、出てくる単語が結構とんでもないので、
ダメな人は本当にダメかもしれない。
けれど主人公のチョコちゃん、とっても好きなキャラでした。


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世界は密室でできている。
01月 12日 * 23:46 * 舞城 王太郎 *
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私に舞城王太郎を薦めた人は、薦めるときにちょっとだけ躊躇しました。
その時におすすめされたのは「煙か土か食い物」。
躊躇した気持ちはすごくよくわかる。

私は大好きです。今回、芥川賞にノミネートされていますがさて、、、。受賞は難しいんだろうなあ。
面白いのに。素敵なのに。

この小説、密室のトリックを解いていくサスペンス…ではありません。
いや、解くんだけど。密室いっぱい出てくるし、人もいっぱい死ぬのだけれど。
青春小説です。

作中に出てくる密室殺人は、どれもこれもめちゃくちゃ。状況の説明のよくわからないところは、イラストでの図解があったりする。アメコミ風のイラストもキリのいいところでバシバシ挿入されます。
私は状況説明文が非常に苦手で、読み込むのが難しいので非常に助かりました(笑)

出てくる人みんな変人。みんないびつ。
けれど優しさに満ちあふれている。男の子らしい優しさでいっぱいなのである。
彼の小説に出てくる主人公はみんなそうなのだ。なんかもう、精一杯でまっすぐだったりするのだ。
主人公の身も蓋もないような独白が、たまらないのです。

主人公も可愛いけれど、ルンババの可愛らしさにやられっぱなしでした。
ラストの清々しさと微笑ましさもよかった。

さくっと読める素敵な小説なので、色々な作法を気にしない方はぜひ。

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好き好き大好き超愛してる
12月 26日 * 01:27 * 舞城 王太郎 *
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舞城王太郎、2冊目。
この人の小説、文体に癖があってダメな人は猛烈にダメだと思う、のだけれど私は好きです。
この間観たエヴァQと同時上映した巨神兵の台詞書いたのだよね。エンドロールに舞城王太郎の文字を見つけて「おお」と思ってしまいました。

普通小説で使わないような言葉遣いがたくさん出てくるのだけれど、それゆえに主人公の気持ちが読み手にむき出しのままぶつかってくる。痛い。

最愛の恋人を亡くしてしまった作家のそれからのお話。
あまりに存在が大きくて、あまりに忘れられなくて、そのせいで先に進めない事に彼は葛藤していないように見える。
ずっと愛してるよだとか、君だけを愛するよだとか、そういう言葉を死にかけている超愛してる人に向かって言うことの意味。破られることのわかっている誓い。けれどその誓いはその瞬間に於いては大正解なのだということ。

冒頭で語られる「愛は祈りだ」から始まる一連の主人公の愛についてのお話は、その後のいくつかのお話とがっつり絡んで彼の祈りを描き出す。
ものすごく切なくて痛いのだけれど、まったく後ろ向きな感じがしない。
ああ、この人はとってもいい恋愛をしたのだなあと思えるそんな小説。

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煙か土か食い物
11月 02日 * 22:33 * 舞城 王太郎 *
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ものすごく面白くて一気に読みきってしまいました。
文体が独特なので好き嫌いがわかれるところなのかなぁと思うけれど、
圧倒的に面白い。
ミステリなんですが、私普段ミステリ読まないんですが、出てくる登場人物がどの人も規格外な感じが読んでいて楽しい。ものっすごい、男の子小説。

主人公の四郎は、政治家のおうちの末っ子、四男。
四男だから四郎。当然、一郎、二郎、三郎もいる。
四郎はアメリカのERで働くお医者さん。
実家にお金があって、それぞれそれなりに才能も能力もあって、なぜだかみんな喧嘩もつよい。
スーパー兄弟。

このスーパー兄弟の母が何者かに襲われるところから話が始まる。
母を襲ったのは誰なんだ、というお話なんだけれど、そこに家族の歴史と人間関係が描かれる。
四郎くんは頭もいいし行動力もある。口は悪いし素行もよいとは言えないのだけれど、
彼はとっても家族を愛している。
この、めいっぱい家族を愛している感じがとってもよかった。
その感じが末っ子っぽくてとっても可愛い。
彼は賢いので、自分の気持ちの本当のところをきちんと把握することが出来る。
その感じが読んでいて心地よかった。

困った家族の困った様々な出来事を語り続けるのだけれど、そこに必ず、しつこいくらいに、
「俺はあいつを愛してる」ってつける。このしつこいくらいの愛情表現に思わずニヤニヤしてしまうのでした。


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