それなりに分厚い本で、このあと「白鳥異伝」「薄紅天女」と続く勾玉三部作の1冊目にして、荻原規子のデビュー作、だそうです。
物語のベースは日本の神話、イザナギやイザナミの子供たちのお話。
読み始めたら面白くて止まらなくて、一気に読んでしまいました。
今の現状の不自然さ、親を慕う子供の心、自分が何者なのかを模索する気持ち。
言われるがままに生きてきた時間から、自分が何者であるのかを自覚するさま。
半身、半神、とにかくこの物語は、私とあなたは一対である。ということが繰り返し出てきます。
光と闇、太陽と月、転生と不死。
ずっと死なずに生き続けることと、限られた生を次の世代に脈々と受け継いでいくことと。
死なずに経験を蓄積していけば、人はきっともっと賢くなる。
次の生は、知識までは受け継ぐことができない。故に同じ過ちを繰り返す。
この物語の中にもこの言葉は何度も出てくる。
「またお前は同じ事を繰り返すのか」と。
前の生、そのまた前の生でしくじったこと、失敗した事を乗り越えて、
初めて水の乙女である狭也は、自分でも掴みかねていた自分の気持ちの理由を知るのです。
生まれて死ぬからこそ、生は輝くという事。
死ぬのは怖いしいやだけれど、死ぬこともなくずっと生き続けることを思えば、
きちんと終わりがあるというのはとても幸せな事のような気もします。
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