本の記録
読書感想文。
admin


http://jugem.jp/
http://biancca.net/
植物図鑑
01月 28日 * 21:13 * 有川 浩 *
-- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --
ずるい。

読む人を選ぶ小説だと思います。
かなりの恋愛小説でございます。植物もいっぱい出てくるけれど、そしてそれがとても楽しくはあるのだけれど、でもこの小説はベッタベタの恋愛小説。しかも有川浩なのである。かゆいの。シロツメクサのお花畑なの。

奇しくも物語中に、シロツメクサが出てきます。さらに花かんむりまで出てきます。
いい大人が同居中の男の人に片思いをしながら、ドキドキしつつ花かんむりなのです。痒い。
しかし、こういうのが大好きな人にはきっとたまらない小説です。

私はいい年こいて、心のなかに女子中学生を飼っているような乙女でございまして(自分の痛さは自分で一番わかってると思う)、だからこそこの話はビンゴなのだけれどその私をもってしても若干「ひゃー」となる描写がちらほら。
そういうのに耐えられる人にしかおすすめできない(断言)。

読み始めた頃から物語の結末はなんとなく想像がついていて、途中で出てくるいくつかの伏線も思った通りではありました。しかし奇抜なだけが小説の面白さじゃあないんだ。
唯川恵の失恋小説を読んだ時にも似た感じを味わった、生々しい喪失感をたっぷりと疑似体験させていただきまして。
さらにその後に続く想像通りの展開に、ほっとしつつも「くっそうこの幸せものめ」と羨ましくなってしまうのもまた事実。

失恋した時に人は、「とっとと忘れちゃえ」とか言いますがある程度大人になれば、忘れたほうがいいのなんて誰に言われるまでもなく分かってることなのです。それでも忘れられないのが失恋の喪失感の辛いところなのだと私は思う。
無理に方向転換しようと思わなくていい。離れたのが相手の勝手なら、未練がましく待ち続けるのだって自分の勝手だ!と前向きに失恋の悲しみに浸かるのも悪いことではないと思う。
しかし、そういう失恋の果てに訪れるのはたいていこの小説のような結末ではなく、本当の別れだったりする。
たとえばこのお話がそういう方向に進んだとしても、きっと彼女はいずれかのタイミングで方向転換をする。
何かを諦めるまでにかかる時間は、ケースバイケースだし人それぞれだと思う。
だから、失恋したら思う存分前向きに未練を振り回していいと私は思っている。

まあ、現実はそうそううまくいくものじゃないから、せめて物語の中でだけでも……という気持ちと、物語の中でもこんな幸せな出会いをした彼女らを羨む気持ちと、乙女心は複雑に静かにざわざわ真っ最中なのですが。
本当にこの人の小説はいい年した乙女の心を揺さぶるのがうまくて困る。



JUGEMテーマ:読書


-
new | top | old