本の記録
読書感想文。
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ペンギン・ハイウェイ
02月 17日 * 11:09 * 森見 登美彦 *
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森見登美彦の京都じゃない小説。
森見登美彦といえば京都で、腐れ大学生なのだけれど今回のお話には腐れ大学生も猫ラーメンも出てこない。
舞台も京都じゃない。

主人公のアオヤマ君は小学校4年生。
まだ大人の歯も生え揃っていない子供である。
しかし、小学校4年にしてはありえないくらい賢い少年なのです。

9〜10歳の少年の初恋と彼の住む街に現れた謎のペンギンと「海」。

京都は出てこないけれど森見登美彦だなあと感じさせられるのは、そこはかとない楽天さと寂しさと切なさ。
研究対象としてのお姉さんと、恋心の対象としてのお姉さん。
それはアオヤマ少年の中で、どちらもお姉さん研究なのだけれど全然違うことで。

父親はアオヤマ少年に研究の仕方を教えた人物で、アオヤマ少年の日々の暮らしを暖かく見守っている。
当然母もいるのだけれど、小説の中では圧倒的に父の存在感のほうが大きい。

一般的に描かれがちな賢いこどもというのは、脳みそばかりが先行していて実が伴わない(経験が足りない)ちょっと生意気で、困らせてやりたい!と思わせるような存在だったりするのだけれど、アオヤマ君は頭で考えたことをその通りに実践してしまえる心の強い子どもなのですね。その調子でいじめっこに反撃したりするものだから、なかなかに爽快である。
わからないことをわからないと素直に言える(そして調べて考える)あたりは、非常にかわゆい。

森見登美彦の小説にはたくさんのかわゆいものが登場するけれど、ペンギン・ハイウェイはもう主人公がすごくかわゆい。出てくる子どもたちもかわゆい。そしてペンギンたちもかわゆい。

世界がまだまだとっても大きくて、果てなんて見えない、1日がとっても長くて1年なんてすごくすごく先の話だった
頃の空気がいっぱい詰まった、素敵なファンタジー小説でございました。
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