本の記録
読書感想文。
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県庁おもてなし課
05月 09日 * 08:31 * 有川 浩 *
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有川浩のぶっ飛んでない方の小説。
映画化のタイミングで文庫化したのかなーという感じで、明日から封切られますね映画。
映画も観に行く気満々なのだけれど、先に小説を。こういうのってどっちを先に…って毎回迷う。

で。小説の舞台は高知、県庁にある発足したばかりの「おもてなし課」。
観光地として「外貨」を稼ぐために一生懸命頑張る県庁職員が主人公。

有川浩の小説らしく「きゃー」って言ってしまいたくなるような恋愛要素もしっかりと入っています。

民間人の側から、お役所のダメなところをこれでもかこれでもかと叩かれ突っつかれて、
おもてなしをすることってどういうことなのかを気づき、学んでいく主人公。

私は昔、市場で働いていたことがあります。
市場ってものすごく独特な世界なんですね。あそこだけの常識があって、目に見えないルールみたいなものがある。
けれど市場の人達はその世界しか知らないから、市場の外と中のズレに気づかない。

なんかそういうことを思い出しながら読み進めました。

小説の中には高知のいいところいっぱい。読んでいて「いいなーいきたいなー」と思ってしまう。
東京からだとすごく遠いのですが。

自分の持っているものは当たり前すぎて、その価値に気づきづらい。
これは観光資源に限った話ではなく、県という大きなものに限った話でもない。
みんな自分のことはわかりづらい。
それを発見するのに必要なのは、外の人との関わりと想像力だと思います。
他人に対して思いやりを持って接すると、お返しのように自分の持っている特別なものに気づいたりする。
相手の立場に成り代わって世界を見つめなおすことは、自分の世界にもうひとつ新しい視点を持つきっかけになる。
その視点の数の多さがその人の持っている世界の広さだと思う。

高知県出身の人気作家吉門と県庁おもてなし課の掛水は、お互いがお互いの視点に立ってみて、
お互いの世界を広げて成長していく。

私は生まれも育ちも両親の田舎も東京という、東京で土着して生きている人なので田舎のことがよくわかりません。
東京は便利だと言われても、その便利さがいまいちピンとこない。
しかし、旅行に行った時に自分の中で当たり前になっている便利に気付かされることはけっこう多いわけです。
私は財布の中身をあんまり気にして生活していません。お金なんていつでもどこでも銀行から下ろせるから。
去年旅行に行った時に、それでえらい目に遭いまして。。。
東京の「近所」の感覚と田舎のそれは距離感がだいぶ違うっていうのも旅をして実感するところ。

だから都会がいいとか田舎がいいとかそういう話ではなく、そういう特色の違いを認識することが大事なんだろうなと思う。

東京に住んでいると「いいよねえ」って言われがちなんです。
確かに都会のいいところってたくさんあると思うのです。
そもそも私は演劇みたいな都市型芸術が大好きなのでして、やっぱり地方にいるとそういうものに接する機会は格段に減るのですよね。演劇は生身の人が目の前で演じる芸術ですから、どうしても都会にいないと恩恵に預かれない。
けれどおそらく、「いいよねえ」の言葉の先に消える「都会の人間は…」的なネガティブなアレをぶつけられる時の気持ちは、私みたいな東京が地元な人にしか分からない。

東京って「ほんっと東京の人って冷たい」みたいな感じで堂々とバッシングされがちなのです。
東京が地元の人達にとって、それは故郷をけなされている事になり、そういう言葉を聞くとやるせない気持ちになるのですけれどね。

話が読書とだいぶずれた……!

私は作家の吉門君のキャラがとっても好きです。
なんだこいつかわいい……!
作中、掛水が吉門について「人たらし」と言いますがこの表現に思わず笑ってしまった。

民間とお役所。
常識も立場も違うけれど、彼らはみんな高知を愛している。
高知によりよくなってほしいと思っている。
その感じがなんだかほんわかして暖かくなる、そんな小説でした。

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